熱情劇場

日本語めちゃくちゃ断末魔

そのあまさ、きっと毒

 

大前提として、私は顔が綺麗(言い換えると顔が好み)な男以外に興味が無い。

もちろん、決して自分の顔が整っているからという理由ではない。私の顔は口の大きさが控えめになったダヨーンに酷似している。

単純に、どうせ見るなら見目麗しい人が良いに決まっている。だから、好きになるのはいつだって才能ある方によって美しくデザインされた2次元のキャラクターか、俳優モデルアイドル等顔面の良さを一つの武器としながら生計を立てている男だった。

 

そろそろ両手の指では足りなくなるほどオタクをやっているが、2次元のキャラクターに声を当てている声優という業種の人には、声を当ててくれているという感謝と、そのキャラクターを通しての好意以上の気持ちが向いたことはない。なかった。

 

天﨑滉平を知ったのは、ヒプノシスマイクにハマってからだった。

初めは本当に何とも思っていなかった。山田三郎のことを好きだと認めること自体にも2カ月ほどかかったので、声優まで気にしている暇がなかったのだ。
2ndライブ円盤で初めてちゃんと動いて喋る姿を見た時はなにやらチャラそうな人だな…目怖いけど…という印象は持ちつつも、その時はまだ「山田三郎の声優の人」というだけの認識だった。それが普通で、いつものパターンだ。

 

だが、天﨑滉平はそのままでは終わらせてくれなかった。

 

まず最初に年齢に驚かされた。

30歳。今年で、というかあと1カ月ほどで31歳。見えない。あまり言いたくないが、これに関しては今でも毎日そう思う。とても30歳の男性とは思えない見た目をしている。下手をしたら大学生でも通じるのではないかと思うほど若々しい…というか幼い。そして、本人にもその自覚がある。ここが問題。

 

これも本当に、もう本当に言いたくないけど、可愛いらしい顔立ちをしている。ああもう本当に言いたくない…。全体的に丸っこい顔の輪郭に、またさらに丸っこいパーツが載せられている。やや上がり気味の口角。何も映していないように見える印象的な黒いビー玉のような目。正直怖くて直視できない。ヒプマイライブでよく見せる顎だけを動かす技さえ出さなければ、言いたくないけど確かに可愛い。そんな自分のことをよくわかっているのかそれとも良いスタイリストさんがいるのかわからないが、着ている服も大体可愛い。言いたくないんだけど。言いたくないんだけども!おそらく、これも本人にその自覚がある。ここもかなりの大問題。

 

あと、天﨑滉平はライブになると普段の数倍マシで声質が甘ったるくなる。楽曲やドラマパート、アニメの山田三郎の声は確かに可愛いものの、その可愛らしさの中に本質に違わない芯のある、そしてまだ未完成な部分も垣間見える少年の声をしていると思う。だがライブになった途端煽りのせいかファンサービスのせいなのかとにかく甘ったるい。蜂蜜と生クリームにさらにメープルシロップをかけている。もうやめてくれ。あとやたらニコニコする。それはいつもか。だとしてもやめてほしい。眩しい。直視できない。かと思いきやバトルが始まった途端先ほど数人殺してきたかのような鋭さを放つ目つきになるのもやめて。苦しい。直視できない。大大大問題。

 

究極に言いたくなさすぎるのだが、その可愛らしい顔立ちと声によくお似合いの、ラジオや生配信番組で見せる激甘ぶりっ子キャラ。普通に考えて、30歳の男性が美味しいのことを「おいちい」と言ったり、頬に酸素をためたり、写真を撮るときに片足をあげるポーズをとっていたら見る者も本人も大怪我するものだが、天﨑滉平は許されている。5億歩譲ってそれだけならまあ頷くしかないが、それだけではない。天﨑滉平の本来の中身は気持ち悪めのオタクなのだ。しかもおねショタ趣味。あの振る舞いとその趣味をかけると彼は自分のことをおねショタのショタだと思っているという最悪の方程式ができ上がってしまう。挙句それを何の躊躇いも無く公共の電波で危機として語る。本業のファンや彼自身のイメージへの影響を心配したラジオの方に心配されても「大丈夫ですよ、皆わかってるから」とさらりと言い放ち話し続ける。許されていることもわかっているのだ。本当に大問題すぎる。

 

さらに天﨑滉平に腹が立つ点は、これでいて器用だということだ。本当に言ったら吐きそうなレベルで言いたくないが、基本的に天﨑滉平は何でもできる。特技として挙げているラップやスポーツ(今現在は体力が落ち気味)はもちろんのこと、即興も上手い。料理もできる。月1回生配信で視聴者と交流しながらお題のメニューを作るのだが、普通に毎回おいしそうに出来上がっている。もちろん本人も自覚がある「できちゃうんですよね」とふざけたように笑って言っていた。ダメ押しに、都内一人暮らしで車持ちであることも最近判明した。あーーーーーーーーーーークソ大問題…。

 

こんな調子で、天﨑滉平のことを見聞きすると歯軋りが止まらなくなる。生きている人間に対して、今まで抱いたことのない感情の種類だ。

 

そんな大問題だらけの天﨑滉平に最初に不信感を抱いたのは、7月に放送されたヒプノシスマイクのバラエティ番組、通称ヒプスタだった。

ディビジョンごとにキャラクターやその楽曲についておさらいしていく、という趣旨の番組で、もちろん天﨑滉平も木村昴さんや石谷春貴とともに出演していた。本当に、あれさえ見なければ…。

彼が担当する山田三郎は、作品キャラクター中最年少の14歳だ。

キャラクタープロフィールでそれについて触れられたとき、天﨑滉平は「僕、30歳ですよ」と言ったのだ。

大げさでもなんでもなく、自分が30歳に見えないことも、周りからそう思われていることも、見事に14歳の山田三郎を演じているという自覚のある人間の表情と言い方だった。

その顔を見て声を聴いた途端、笑いながらも全身の毛が逆立つのを感じた。

 

こいつは全部“解って”やっている…。

 

そう気づいた瞬間から天﨑滉平に対する不信感は止まらなくなった。そしてこの文章を打っている今この間も不信感は増し続けている。

不信感が増し続けると人はどうなるか。

回収するために目が離せなくなる。不透明な政治に開示を求める民衆と心理は同じだ。

写真集を購入してしまったのは本当にまずかった。顔を直視できないものだから、最後のページまでたどり着くのに数時間要した。

カメラを通してこちらを見ている天﨑滉平の真っ黒い目には何が映っているのかわからないし、確かめるすべもない。ただ、インタビューで「写真を撮られるのは苦手」と話していた彼が生き生きと台湾の街を満喫している姿を納めた写真たちを見ていると、気付きたくない感情に気付きそうになってしまうから、ますます顔を見れなくなってしまう。

 

すべては追えていないが、生配信やラジオでキモオタぶりっ子を存分に発揮する天﨑滉平にもだいぶ歯軋りさせられている。削りすぎてそろそろ奥歯が無くなりそうだ。彼がレギュラー出演している番組は多いため、ほぼ毎日何かしらの媒体で天﨑滉平が生存しキモオタ小器用ぶりっ子声優活動をしている姿を見聞きできる。

 

本業のときは少年から青年までのキャラクターに丁寧に命を吹き込み、それだけでなくラジオや生配信やイベント出演もこなす、といった多岐にわたる活動をしている天﨑滉平に、最近深夜ラジオで「本当のあまちゃんはどこにいるの?」という質問が投げかけられた。

それに対して天﨑滉平は「どれも本当の俺じゃないよ。演じていると言えば演じてるから。」と答えた。

 

あーーーーーーーーーもうなんなんだ。なんなんだこの男。

 

さきほど個人的な天﨑滉平の大問題点を挙げたが、彼の根本的な部分はきっと一生見えないのだ。声優というエンターテイナーなのだから当たり前のことなのだけれど、ここまで見せておいて大切で生々しい部分はあまり見せてくれないところにまたさらに歯軋りしてしまう。

思えば、天﨑滉平はいつもそうだ。

自撮りは見せてくれるけど、使っているiPhoneは見せてくれない。

高塚智人さんに素敵な誕生日プレゼントをもらったことは話してくれるけど、何をもらったかは内緒にして話してくれない。

車買ったことは教えてくれるけど、車種も値段も教えてくれない。

ダイエットしてやせた事実と姿は披露するけど、体重は公表しない。

 

どれもかなりプライバシーに関するものだから隠したい気持ちはもちろんわかるけど、でも、ここまでどこか身近な存在と錯覚させておいてそうやって急に物理的な距離を見せてくる。私がいままで歯ぎしりしていた天﨑滉平の中身さえも、全部彼のエンターテイナーとしての「キラキラした部分」の一部分にすぎないのだとハッと思い出させられる。

 

天﨑滉平の仕事が見たいからという理由で、長い間近寄らずにいたあんスタや、勧められたまほやくにも手を出してしまった。藍良もクロエもとても真っ直ぐないい子で、だけど自分に自信が無い不安定な子。そんな感情豊かで生きている等身大の少年を演じるのが、天﨑滉平は非常に巧いと思う。素直に好きだ。

 

こうして毒はどんどん全身を回る。言動をつかさどる部分にも回り始めたら危ないので、必死で「天﨑滉平というヤバい声優を興味本位で見ている」というもはや壊れかけているていを崩さないように必死だ。もはやそんなの苦しい言い訳なのがどう考えてもわかるくらいには気持ちが大きくなっているのに、見て見ぬふりをしながら日々抗い続けている。

さっさと認めればいいのに…と自分でもたまに思うが、これは全部自己防衛であり、予防線だ。

消費者として以上に関わることが一生ありえない異性に対して必要以上の感情を向けたところで、待っているのは傷つく結末だけだから。それに、もしいつか天﨑滉平が誰かと人生を共にすることを我々に教えてくれた時に、彼が出会わせてくれたキャラクターたちに対しての大好きの気持ちまで失ってしまうのは絶対に嫌だ。だから、天﨑滉平のことは好きではない。だけど天﨑滉平の仕事は大好き。という設定で日々彼を消費している。

ただもう毒はだいぶ回っているので、その時が来たときは天﨑滉平と3次元女性の公式恋愛的絡みに喜びながらも、心の底では落ち込んでしまうのだろう。もちろん過去の噂を見ていないわけではないし、彼からしたらだいぶ最悪なことにその一連の話も込みで目が離せなくなっているので、手に負えない。それなのに感情を認めることは抗っているので、自分でもわけがわからなくなる。

別に顔自体は好みではない。砂糖の割合が高すぎる。だから本来ならば興味はわかないはずなのに、こんなことになってしまっているのは毒の効果としか思えない。

本当に、甘さの毒みたいな男だと思う。