熱情劇場

日本語めちゃくちゃ断末魔

ヒプノシスマイクにドはまりしている話

ごきげんよう

 

2021年5月上旬、ヒプノシスマイクにハマった。
こうなる前、「絶対にこのジャンルで狂うことはない」という自信があった。なぜなら、オタクになってから大きくジャンル移動した経験がほとんどなかったから。

9年ほど黒子のバスケを追い続け、7年ほどテニスの王子様を追い続けている。途中で旬ジャンルアニメを見たり一時的に意識が向くことはあれど根本的にはこの2作品が常にあった。完全に週刊少年ジャンプスポーツ漫画枠のカモ。

話題になったゲームやアニメは目を通すが、上記2作品以上に夢中になれるジャンルは今後は現れないのだろうと思っていた。刀剣乱舞あんさんぶるスターズ!、ツイステッドワンダーランドの話題が常にのぼっているTLの中でずっと伊月俊の無い話を一人で話し続ける気味の悪いアカウントを運営している状況が続いていた。

私は何かのジャンルにハマるとき、キャラクターから入ることが多い。もっというと、キャラクターの見た目。ヒプノシスマイクはキャラクタービジュアルは綺麗だなあと思えど、ぱっと見すごく好きな見た目のキャラクターはいなかった。というのも、どちらかというと上品でクールな雰囲気の男が好きだからだ。ラップやヒップホップというとどうしてもヤンキー気味ガラ悪めで強めな殿方たちというイメージが先に来る。楽しそうだし盛り上がっているのは納得できるものの、きっと「ものすごくハマる」ということはないんだろうなあ、というのが所感だった。

思っていたので、いつものごとく「ちょっと触れる」つもりで、アニメの1話を見てから初期4ディビジョンの曲のみを全員分購入した。ちょうど環境の変化などもあったのですぐに残ることはなかったが、2カ月ほど聴いていればインパクトに残った歌詞が出てくる。それを検索したりそのキャラクターがその歌詞を用いる意図が知りたくて、Googleツイッター、Pixiv,で検索していく。

検索履歴はあっという間にヒプノシスマイクのキャラクターたちの名前と関連ワードで埋まっていった。

そのうちにキャラの名前とプロフィールを自然に覚えた。もうこの時点で知らない他人ではなくなっているのだが、時すでに遅し。

とくに残ったのが、「魔法使いのfour teen」を自称する現役中学生、MC.L.Bこと山田三郎だった。

パワー全開系兄二人とはうって変わってというか他ディビジョンの誰とも被らないクラシックがもとになっている曲。最初認識していなかった頃、New Starのイントロがシャッフルで流れてくると「こんな曲入れたっけ?」と首を傾げたものだ。これがまあ、クセになった。

メロディーがクセになったので歌詞に集中して聴くようになった。

Aメロこそ「イージーモードのゲームみたい」だの「それで本気?マジで歯ごたえなさすぎ」だの舐めまくり煽りまくりのクソガキ印象が強いが、Cメロに入った途端に違った視点からの彼の内面的なものが語られ始める。

 

「明け方に眠り昼過ぎに目を覚まして」

「ふとこんな時たまに思うよ 普通の中学生だったらって」

 

え、学ランらしきもの着てるけど学校行けてないの…?

学校も行けずに戦ってるの…?

前に1話だけ見たアニメだと全然そんな感じじゃなかったけどヒプノシスマイクの世界そんな殺伐としてるの…?

 

意識した途端検索履歴は「H歴 戦争」「H歴 治安」「山田三郎 学校生活」「山田三郎 不登校」「ディビジョンバトル 治安」等で埋まった。

調べたところどうやら普通に中学校には通っているらしく、歌詞についてはただ学校がない日の朝寝坊だとわかったので安心したが、この頃から山田三郎が脳に居座り続けるようになってしまった。すっかり山田三郎の声とあの調子がクセになったので、ちょっとこれだけ、と「レクイエム」を単体で購入し一晩聴き続けたりした。

 

もっと知るにはどうしたらいいかと考え、アニメを1話から見ることにした。仕事終わりに毎日2~3話ずつ見続けたため数日で完走した。演出や展開には笑いを禁じ得ない箇所が多いが、1stバトルの大筋を理解するには大変に良かった。作画も一切崩れることが無く大変に良い。自称ドバイのゲームクリエイターというトンチキワードもちょっとしたSub rosa。

アニメのOPの「最強の二親等」という言葉が個人的に心に響きまくったのでスケジュール帳に何の意味も無く書いてある。OPは完走後購入し毎日聴いている。

YouTubeでフルで視聴可能の「おはようイケブクロ」を毎朝聴いてから出勤するようになった。退勤後は二次創作を読み漁り、気になったことを調べるので起きている間はほぼ常にイケブクロディビジョンのことを考えている状況になった。

 

1週間ほど経過し引き返せないところに立ちかけていることに気付いたので怖くなり、「これ以上好きになりたくない」「いっそ全部忘れたい」と葛藤したが、脳はヒプノシスマイクの男たちの情報を求めているのでもう止められなかった。ツイッターで自分と同じ状況の人がいないと安心できず、「山田三郎 地獄」で検索し続けた。

 

何もわからないまま2ndバトルオオサカVSイケブクロにかなり微力ながら参加し、イケブクロが勝利した様子をAbemaで拝聴したとき、涙が出た。自分はほぼ何もしていないのに勝ったことを喜んでいるのが情けなくなり、さらに泣いてしまった。ファンの財力で勝敗が決まるこのイベントに末恐ろしさを感じつつ、それでもいいから勝ってほしいと思っているので、もうとっくに好きになっていることに気が付いてしまったのだ。

 

ヒプノシスマイクの恐ろしいところは、「これを見れば(読めば)(聴けば)すべてがわかる!」という媒体がないところだ。これが必ず「原作」という大本が存在しているジャンルに長年いた私にとっては目が回る点だ。

大本はCDのドラマトラックで話が進んでいるようだが、ドラマトラックのみではバトルの勝敗まではわからない仕様になっているようだし、コミカライズ版で詳細情報や追加情報が明らかになる箇所もいくつもある。勝敗を知るにはライブ円盤を見る必要があるし、オリジナルキャラクターも出演しておりH歴という時代背景をより深く知るには舞台版を見なくてはならない。日常的なキャラクター同士の絡みが見たかったらソシャゲアプリのオリジナルストーリーを開かなければならない。忙しい。

あと、まだまだストーリー上謎な点が多く、伏線がそこらじゅうに張り巡らされているところも怖い。一体あと何と何と何と何と何を隠しているんだ。ぱっと見主人公的ポジションかのように見えた山田一郎だが、「どんな男か」を問われるといまいち言葉にできないところが怖い。

昨年秋に発売された公式ガイドブック購入資金に充て、舐めるように眺めた。テニスの王子様に育てられたので、キャラクターのプロフィールに「え、足のサイズは?視力は?好きな映画は?好きな本は?給料(お小遣い)の使用例は?好きなタイプは?今一番ほしいものは?…お前らのこと何もわからないじゃねえか!」と混乱してしまった。

わからない。知りたい。知りたくない。わからせろ。

 

いま現在イケブクロVSヨコハマを全媒体制覇するためにコミカライズの到着を待っている状況だ。早く届いてほしい。私には時間がない。こうしている間に2ndバトルの決勝は近づいてくるし、8月のライブまでにヒプノシスマイクの過去3年分の軌跡に追いつかなければならない。

ぱっと見好きな見た目のキャラクターがいない、などと思っていた男たちの姿を見るために速足で帰宅し、その声を聴きながら知識を得るためにぶっ通しで検索作業や情報まとめ作業を続けているので夕食を取り忘れることが増えた。気が付くと深夜になって慌てて風呂に入り寝るので元々悪い肌の調子はさらに最悪だ。狭い部屋に引っ越したばかりで、「広い家に引っ越すまではモノを増やさずに過ごす」と決めたはずなのにそんなこと忘れて日に日に物が増えていく。

ただ、楽しい。そして、成人になっても全く新たなものにこんなに好きという気持ちを向けられていることに正直驚いている。

コンテンツの性質上悲しい思いをすることがこの先確実にあるだろうし、設定上仕方ないのだが、キャラクターたちの考察をするとなかなかに重い予感がするので既に心を引きちぎられながら履修しているのだが、気付いたらその苦しささえも集めるために走っている。

なんて恐ろしいんだ。

出会えてよかったけど、出会いたくなかった。